5G×土木でどんなことができるのか

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5Gとは

5Gは第5世代移動通信システムのことです[1]。従来の4Gと比べて、

  • 高速大容量
  • 低遅延
  • 多接続

という特徴をもっています。

高速大容量によって、これまでダウンロードに時間のかかっていた高解像度の映像をストレスなく楽しむことができることに注目されることが多いですが、そればかりでなく、遠隔地にいてもロボットなどの操作をスムーズに行うことでこれまで実現することの難しかった遠隔医療を行うことができたり、家電や車などの身の回りのあらゆる機器(モノ)がインターネットに接続して生活がより便利になったりと、社会発展の基盤としても大きく期待されています。

ソフトバンクHP[1]

5Gの利活用のイメージとして、スポーツ観戦などのライブ配信、自動運転、スマートシティなどがあると思います。5Gは幅広い分野でこれまでできなかった技術を可能にしつつあります。

5Gではこれまで以上の高速通信を可能にしているわけですが、そこにはどのような技術が使われているのでしょうか。

5G通信を可能にする技術

MIMO

MIMO(Multi-Input Multi-Output、マイモ)とは、送信側と受信側で複数のアンテナを用意し、複数に分割された異なるデータを同時に送信、また受信をして通信速度をあげる技術です[1]。

マイモと呼ばれるこの技術では、アンテナを複数使って同時にデータを送受信することで大容量のデータを高速で通信できるようにしているということですね。

ネットワークスライシング

ネットワークスライシングとは、1つのネットワークを仮想的に分割(スライス)する技術です。

スライスされたネットワークはモバイルでの高速大容量ダウンロード、自動運転に必要な低遅延、複数デバイスでの多接続など、異なる様々な要件に合わせて構築されることで最適化されたネットワークを実現します[1]。

ネットワークスライシングというのは、一言で言うならばネットワークの最適化でしょうか。今までは同じ帯域でさまざまな通信が混在して行われていました。それが、動画視聴などの大容量の通信は高速大容量通信に適した帯域で、ドローンの操作などのそれほどのデータ量でない場合は広い帯域を使って通信を行うことで、高速通信と低遅延の両方の実現を可能にしているとのことです。

MEC

MEC(Multi-access Edge Computing、メック)とは、ユーザーの使うデバイスにより近い場所にサーバーの代わりをするコンピューターを置くことによって、通信の効率化を図る技術です。

ユーザーに近い場所でデータ処理が行われるため、低遅延を実現することができます[1]。

高速通信を可能にするために、これまでより高周波数の帯域を使うことで、電波の直進性が高くなり、これまでより基地局の影において電波が届きにくくなります。

これを解決するには基地局をデバイスの近くに設置するしかありません。この技術では、スタジアムなどのデータ通信が多く集まるところにアクセスポイントを設置するという技術になります。

5Gの建設・土木分野における利活用

建設・土木分野でも5Gの利活用は始まっています。ICTなどの技術を実現していくためには5Gは欠かせない存在となります。

総務省「5G利活用分野の考え方」[2]において、建設・土木分野の5Gの利活用イメージが紹介されています。

  • ドローン等を用いて3次元データで現状地形を把握し、設計図を作成、施工土量等の算出
  • 建機の自動化により、施工の高精度化
  • タグを用いて、鋼材、コンクリート等の入荷から施工段階、施工後まで品質管理。工程管理から施工後の維持管理まで

5G×建機の事例

建設機械への5Gの活用事例を紹介します[3]。

2020年の2月に三重県の川上ダムでKDDIと大林組、NECの3社の共同で、遠隔で建設機械を操作し、掘削や土砂の運搬など道路の造成する実証実験が行われました。

KDDIが5Gのインフラ環境を構築し、大林組が建設機械の自動運転や遠隔操作のシステムを担当。NECが5G基地局から管理室までの無線通信を提供しました。

油圧ショベル、クローラキャリア、ブルドーザーの建設機械3台に合計12台のカメラを設置し、カメラの映像を管理室に向けて5Gでリアルタイムに通信することで遠隔操作を実現しました。

地面をならす振動ローラ車には自動運転機能を搭載し、車両につけた加速度センサーのデータなどを管理室に送ることで、遠隔で機械の状況を把握できるようにしました。

日本経済新聞「KDDIなど、5G活用で建設機械を遠隔操作」2020.2.14

まとめ

5Gにはどのような通信技術が使われているのか、建設・土木分野へはどのような利活用方法があるのか、そして5G×建機の事例について紹介しました。ICTなどの技術を発展させていくために5Gが欠かせない存在となることは間違いないでしょう。5Gの通信技術を建設現場に取り入れるためには、ローカルネットワークの構築が欠かせません。建機やデバイスの最新技術の導入には、高速で低遅延なネットワークの構築が必要になっていくでしょう。

参考資料

  1. ソフトバンクHP(https://www.softbank.jp/mobile/network/service/5g/)
  2. 総務省「5G利活用分野の考え方」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000414038.pdf)
  3. 日本経済新聞「KDDIなど、5G活用で建設機械を遠隔操作」https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55644700U0A210C2000000/

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