「建設テック革命」という本を久しぶりに読みました。
ドローンを飛ばして航空写真をとったり、GPSを使って測量したり、建設業界ではテクノロジーの活用が盛んになっています。
この建設×テクノロジーを建設テックと言い表し、革命までも起きているといいます。
私も建設関連のニュースを見ていると毎日のようにICTとかCIMとか目にしましたが、その目的も現状も良く分かっておらず、漠然とこの業界は変わっていくんだろうなあという感じでした。
この本は「建設テック革命」について、一体何が起こっているのかを具体例を挙げてまとめている一冊となっています。私もこの本を読んで「建設テック革命」の現状と今後の展望について理解が深まりました。
今日はその中から、建設テック革命が起きている背景についてピックアップしたいと思います。
人手不足の時代
国土交通省では2016年度から生産性向上に力を入れて取り組んでいます。それは人手不足の問題から来ています。日本では少子高齢化の影響でどの産業でも人手不足が深刻になっています。建設業では特に、若い人が入ってきません。さらに今後十年間で百万人の職人が離職すると推計されています。実に3割近く減ってしまう計算です。
職人さんだけではありません。工事管理者や建設技術者も不足するといわれています。
建設業の生産性が低いままであることについて、
- 建設投資の減少率が就業者の減少率を上回り、労働力が過剰な状態が長らく続いた
- 発注者の要望に応じて毎回異なる形状・機能の構造物を建設する「単品受注生産」あるいは「屋外生産」といった製造業にはない特徴
- 公共事業では設計と施工を分離して発注する方式が基本なので、研究開発や設計から製造までを自社で賄って効率を高める垂直統合モデルも取り入れづらかった
これらが主な原因だと言っています。
ただし、このような常識や定説は、テクノロジーの進化に伴って急激に覆りつつあるといいます。
国内建設市場は約70兆円
建設市場は巨大なマーケットです。国土交通省の推計によれば2018年度の建設投資は約70兆円にもなります。
しかし、建設業者のほとんどは中小企業です。いまだに紙の書類や図面が幅を利かせています。このことから建設業界にはITの活用によって効率化できる余地が多分にあります。
かつて、国交省(旧建設省)では談合防止のために入札・契約制度の改革を繰り返し、その結果、価格競争が過熱してダンピング(赤字受注)が横行しました。不良業者の参入で品質の低下が大きな問題となりました。
さらにこの間、技術開発も停滞しました。
この反省から、価格だけでなく技術力を評価して施工者を選ぶ方針に変わっています。
国土交通省のアイ・コンストラクション
国土交通省では、2015年に生産性革命の政策の一つとして「アイ・コンストラクション」を掲げました。建設業、特に土木分野の生産性向上を強く後押ししています。
ICT(情報通信技術)の導入やCIM(建設情報モデリング)の活用を前提とした工事を大量に発注し始めました。
このことが、建設会社などが熱をあげて技術開発に取り組む原動力になっています。
まとめ
建設テック革命が起きている背景について取り上げました。そこには人手不足という問題が根底にあります。人が減る中で今後も産業を維持していくためには生産性の向上が不可欠です。その中で、国土交通省が積極的にICTなどを活用した工事の発注を行い、建設会社も技術開発に取り組んでいるという状況がみえてきました。
次回はいよいよ具体的な事例紹介に移っていけたらと思います。
ここまで記事を読んでくださり、ありがとうございました。記事を読んでの感想や、質問意見等ありましたら、下のコメント欄に書いていただけると嬉しいです。
参考資料
「建設テック革命」―木村駿、日経コンストラクション編
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