バイブレーターは必要?選び方、使い方の注意点も解説

バイブレーターとは、まだ固まっていない状態のコンクリート(フレッシュコンクリート、生コン)の中に差し込み、振動を与えて気泡の脱泡を行い、コンクリートの強度を高め、固める機械です。

このことを締め固めると言ったりしますが、これを行わないと、出来上がったコンクリートの表面や内部に気泡が残ったままとなるだけでなく、型枠のすみずみまでコンクリートがうまくいきわたらないため、場合によっては空洞ができたりいびつな形になってしまいます。

フレッシュコンクリ-トにバイブレ-タの適度な振動をあたえることで、フレッシュコンクリ-トが液状化し、コンクリ-ト密度が高まり、不要な混入空気を除去され、骨材が均等に分布した「強度が高く、かつきれいなコンクリート構造物 (製品) 」が得られます。

バイブレーターの役割

バイブレーターには大きく2つの役割があります。ポンプの筒先から出てきたコンクリートを流動化させて広く配分する目的と、コンクリートの中の余分な気泡を抜き出す目的です。

流動化させて広く配分

ポンプ車やホッパーなどで型枠内に投入された生コンの山を型枠内に広げるために、バイブレーターをかけて生コンを液状化させ、すみずみまでいきわたらせます。ただし、バイブレーターのかけすぎは材料分離につながります。詳細は使用上の注意点の項目で解説します。

余分な気泡を抜き出す

コンクリートには、製造時に含まれるものや、運搬時に混入するものなど、大小の気泡が存在します。

微小な気泡は、AE剤(Air Entraining Agent:空気連行剤)によって意図的にコンクリート内に含ませたもので、コンクリートのワーカビリティー(コンクリートの作業性)を向上し、凍結融解作用(凍結と融解を繰り返すことによる様々な作用)に対する抵抗性を高めることもできます。

しかし、大きな気泡が含まれると、コンクリート内で素材同士の結びつきを阻害して、隙間があることで十分な強度を発揮できないことがあります。

※コールドジョイントの防止

上部にコンクリートを打ち込み締固める際に、下部のコンクリートが幾分固まり始めているときには、バイブレーターを下部コンクリートに 10cm 程挿入し、せまい間隔で再振動すると非常によい結果が得られます。この際、あらかじめ下部コンクリートに適度に遅延剤を添加しておけば、再振動締固めに適する時期を延長でき、コールドジョイントの防止にも役立ちます。この方法は二層打ちと呼ばれます。

バイブレーターの選び方

バイブレーターの締固め能力は様々な条件(スランプ・骨材の形状や大きさ・混和剤・バイブレーターの振動能力など)により異なります。

一般的に使用されている高周波バイブレーター(直径∅30 ~∅60)から見られる状況としては、硬練りコンクリートスランプ 2.5cm と比較的軟練りスランプ 12.0cm の振動効果について比較すると、振動伝達はバイブレーターの直径に影響されます。

また、スランプに対しては硬練りの方が伝達率は大きいが減衰率も大きいことが解っています。

振動時間についてはほとんどの場合、初期振動の 10 ~ 20 秒が一番効果があり、それ以上の時間振動を掛けてもほぼ伝達率は一定であることも解っています。

高周波バイブレーターとは

バイブレータとは、コンクリートに振動を与えるための機械です。インバータやエンジンなどに接続して使う、チューブのような形状のフレキタイプや外部から振動を与える振動モータなどがあります。性能面では、より強い振動となる高周波を発生できるインバータやフレキ、モータなどが優れています

軽便バイブレーターとは

高周波バイブレーターに対して、AC100Vや充電式で使えるタイプのバイブレーターを軽便バイブレーターと読んだりします。これについては、さまざまなタイプがあるようです。

型枠振動式バイブレーター

バイブレーターは棒状の内部振動式のものと、型枠振動式のものがあります。型枠振動式は型枠面に近い所の気泡を押し出し、型枠のすみずみまで生コンをいきわたらせます。

バイブレーターの使用上の注意点

コンクリートの横流しをしない

先ほどバイブレーターによって生コンを型枠のすみずみまで広げる役割があると解説しましたが、横流しで広げると、モルタルやセメントペースト分だけが広がり、骨材が広がらないという材料分離が発生するため、コンクリートの山はできるだけこまめにまんべんなく投入する必要があります。

等間隔で垂直に差し込んで使用する

コンクリートバイブレータの締固め有効範囲は、振動部直径の約10倍となっています。振動が届かない場所が発生しないように、等間隔で垂直に差し込んで使用しましょう。振動部直径がφ25mmの場合には締固め有効範囲は直径250mmなので、250mm間隔で使用するといったイメージです。

また、引き抜くときも同様に垂直にゆっくりと引き抜くようにしましょう。特に、硬めの(スランプ値が小さい)コンクリートは、素早く抜いてしまうと、差し込んだ穴がポッカリと残ってしまいます。

締固めについて

打設したコンクリートを型枠のまま回転させ、遠心力によってコンクリートを締固める遠心締固めというものもあります。ヒューム管やPHC杭などで用いられます。

まとめ

バイブレーターの必要性、役割、選び方、使用上の注意点について解説してきました。コンクリートを締め固めるということが出来上がりに大きな影響を及ぼします。バイブレーターを正しく使用することで、大きな気泡を除去し、コンクリートを型枠の隅々までいきわたらせることができます。

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参考資料

  1. Bildyマガジン
  2. EXENホームページ
  3. YDEC(ヨシカワ)
  4. JCM全国土木施工管理技士会連合会
  5. ホクト建設用語集

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