ドローンを使ってどんなことができるか―建設テック革命②

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フードテック、ヘルステックなどの「◯◯テック」というフレーズはさまざまな分野に広がっています。

テックというのはテクノロジーのことで、AIやIoTなどといった最新技術を利用してそれぞれの分野の問題を解決してしまおうという意味合いになるかと思います。

IoT(Internet of Things) 「モノのインターネット」・・・センサーやデバイスといったモノがインターネットを通じてクラウドやサーバーに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組み。[1]

建設業界にもこうした最新技術が急速に導入されており、「建設テック革命」が起きているといわれています。

1回目の記事では「建設テック革命」という本から、建設テック革命が起きている背景について紹介しました。

前回の記事「建設×テクノロジーで何が起きているのか―建設テック革命①」(https://dobokujoho.com/consttechrev1/45/)

今回は、どのようなテクノロジーが建設テック革命を起こしているのか、具体的な事例の部分を抜粋して紹介したいと思います。

ドローンが大ヒットしている

建設×テクノロジーでまず思いつくのはドローンではないかと思います。

建設業界はテレビなどの映像制作に次いでドローンのビジネス活用が盛んな分野のひとつと言われています。

今回はドローンの活用事例について紹介します。

ドローンが活躍している分野はざっくり分けると以下の3つです。

  • 写真測量
  • レーザースキャナー計測
  • インフラ点検

それではこれらの事例について紹介していきたいと思います。

写真測量

ロックフィルダムの建設工事では、周辺の山を削って堤体の材料を確保します。

材料を採取する山を「原石山」と言います。材料として使用できない岩石は「土捨て場」に埋め戻します。この過程で大量の土砂を削ったり、盛ったりします。

工事を円滑に進めるには、原石山や土捨て場の掘削土量や盛土量を正確に把握することが欠かせません。高低差が大きく広大なダムの工事現場で、土量の変化を把握するのにドローンが活躍します。

以下にドローンを使った測量と、従来の測量の手順を紹介します。

ドローンを使った「写真測量の手順」

  • 計測対象エリアの四隅と中央部などに、事前に座標を測量しておいた対空標識(標定点)を設置
  • ドローンに搭載したデジタルカメラで現場を上空から、なるべく重複するように撮影
  • 大量に撮影した空中写真を専用ソフトウエアで解析し、地形の三次元点群データやオルソ画像などを作成
  • 得られた三次元データを前回の計測結果と比較し、掘削土量や盛土量を算出

従来の「光波測量の手順」

  • 現場の断面形状を一定間隔で測定し、
  • これに断面間の距離を乗じるなどして土量を概算

大分川ダムの現場では、ドローンを使うことで、人手で1週間かかる作業を1日で済ませられるようになりました。誤差も数cmとのことです。

レーザースキャナー計測

樹木に覆われた地形までも計測できる「レーザードローン」が開発されています。

小型の三次元レーザースキャナーのほか、高精度GNSS、機体の姿勢や加速度を計測するIMU(慣性計測装置)を搭載しています。

このドローンは、2016年4月の熊本地震でデビューしました。約50万m3の土砂が崩壊した熊本県南阿蘇村立野地区において、阿蘇大橋を飲み込んだ大規模な斜面崩壊の現場の調査に用いられました。

崩壊斜面の周辺の地表面に生じた開口部を持つ亀裂(開口亀裂)の幅が広がれば、土砂がさらに崩壊して二次災害を生みかねません。

調査では、崩壊地頭部を取り囲む崖が安定しているかどうかを評価し、再び崩れる恐れがある土砂の量を推定しました。

計測したのは、地震から4日後でした。午前中に30分間のフライトを終え、午後に約80万m2の地形データを作成しました。

結果的に大規模に崩れることはなさそうだと早期に判断できたそうです。

インフラ点検

社会インフラの老朽化問題に光が当たるきっかけは、2012年2月の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故でした。換気用の天井板などが140mにわたって落下し、死者9人、負傷者2人を出す大惨事を引き起こしてしまいました。

高度経済成長期を中心に猛烈な勢いで整備してきたインフラの老朽化は、これから加速度的に進んでいくことは確実です。

国交省が所管する道路や河川などのインフラに投じた維持管理・更新費は、2013年に約3.6兆円だったのが、2023年には約5.1兆円になると試算されています。

笹子トンネル事故を契機に、国交省は道路法を改正し、橋やトンネルを5年に1回の頻度で点検するよう義務化しました。

橋を点検するには橋梁点検者を使用するか、足場を組み立てる必要があります。その費用はばかになりません。

そこで注目を集めたのがドローンです。

橋の定期点検要領では、ドローンで撮影した画像だけでは損傷を正確に識別できないと判断しています。

各務原大橋では「事前準備」にドローンやロボットを用いました。その結果、点検車を使う日数を10日から4日に、費用を3000万円から2400万円に削減しました。

ドローンを使う上での注意点と対策

これらの分野ではドローンを使うメリットが大きい一方、ドローンが墜落したり、第三者と事故を起こしてしまうリスクもあるため、注意点や対策をきちんと講じることが大切だと釘をさしています。

まとめ

「建設テック革命」という本から、ドローンが活躍している事例について一部を紹介しました。ドローンは今までできなかったことや、人力よりも効率よく作業すること可能にしています。これらの分野で技術を普及させるために、ルールを決めること、情報をいち早く取り入れること、費用を確保することなどが必要となってきます。今後も急速に技術が発展していく分野なので、情報収集をこまめにしていきたいと思います。

参考資料

  1. SORACOM(https://soracom.jp/iot/)
  2. 建設テック革命

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